idea factory from newspaper 2003 7 31

スーパーコンピューター(supercomputer)
 スーパーコンピューターを作るには、
CPUを数千個も並べて、作ることになります。
 この数千個のCPUをどのようにつなげるか。
これを電気的につなげるのか。
これを光ファイバーでつなげるのか。
 電気的につなげるのならば、ひとつの基盤の上に、
なるべく多くのCPUを組み込んで、作ることになる。
 光ファイバーでつなげるのならば、
数千台のパソコンを、光ファイバーで、ネットワーク化して、
ひとつの仮想コンピューターにして、作ることになる。
 いずれにせよ、こういう方法は、
CPUをたくさん集めて、高速なコンピューターを作る方法です。
CPUの人海戦術と言えます。
 もうひとつの方法は、CPUを高速化していく方法です。
どのくらい、CPUが高速化するのか、未知数ですが、
現在のパソコンのCPUは、昔のスーパーコンピューター並みの速度です。
 今あるCPUで、一番、速度が遅いものは、
800MHzぐらいでしょうか。
しかし、8年前ぐらいは、133MHzぐらいでも、高速なCPUと言われました。
さらに、昔のパソコンブームの時は、
8MHzや12MHzでも、高速なCPUと言われました。
この時代は、日本のメーカーも、パソコン用のCPUを作っていました。
正確な名称は忘れましたが、NECがV30というCPUを作っていました。
こうしてみると、パソコン用のCPUが、いかに高速化してきたか、わかるでしょう。
 だから、超高速なコンピューターを作る方法は、
CPUをたくさん並べて作る方法もありますが、
CPUをさらに高速化する方法もあり得ます。
 ただし、今のCPUの構造では、限界があるかもしれません。
夢のコンピューターとして、量子コンピューターや光コンピューターがあります。
しかし、研究開発費が、巨額になります。
今のように、四半期ごとの決算を発表している状態では、
この夢のコンピューターに巨額の研究開発費をつぎ込む企業はなくなります。
おそらく、研究開発型の企業は、四半期ごとの決算という手法によって、
淘汰されていくでしょう。
 この研究開発を大学や公的機関でやればよいという議論がありますが、
しかし、こういう機関では、期限という締め切りがないので、
非効率な研究開発となる可能性があります。
 資本主義の発展は、締め切りという制度があったから、発達したとも言えます。
共産主義の失敗は、締め切りという制度がなかった。
締め切りという期限がなければ、人間は怠けます。
 いずれにせよ、研究開発型の企業は、決算という手法によって、
淘汰されていくでしょう。
何しろ、いつも前年対比で、経営数字を比較されます。
数字が悪化していれば、株価が暴落します。
これでは、巨額の費用を研究開発費につぎ込む企業はなくなります。
 その結果、今ある技術を利用して、安価なシステムを作ろうとします。
これが、デフレの原因のひとつでもあり、
設備投資の抑制の原因にもなっています。
「前年対比で、経営数字を比較し、数字が悪化していれば、株価が暴落する。」
こういうシステムを改めないと、
お金を、研究開発費につぎ込む企業はなくなります。
そして、これが、設備投資の抑制の原因になっていきます。
そして、研究開発型の企業は、淘汰されていきます。
これでいいのでしょうか。
 日本の企業には、研究開発型の企業が多くあります。
しかし、決算のたびに、株価が暴落しては、
経営者も、やる気がなくなってしまいます。
 利潤追求型の企業と、研究開発型の企業を、
同じモノサシで、計るのはおかしい。